完全失踪日記

Escape from another.

2019-01-01から1年間の記事一覧

宝とは何か? 正倉院展で思う話

奈良国立博物館で「正倉院展」を観た。 平日なので混んでいないが、外国人が目立つ。 此処では、鹿よりも外国人が多い。 光るものを美しい感じる。 人間の感覚は純粋で単純だ。 光るのは、光の反射である。 反射的に美しいと感じるだけだ。 金色を反射する黄…

太陽の塔。4つの顔の話

太陽の塔へ。 異様で素敵な、不思議な像である。 その存在に圧倒される。 解体しなかったのは英断だ。 2年前、内部をリニューアルし、公開している。 太陽の塔の魅力は、その内部にこそある。 内部を貫く生命の樹。 生命の進化と人類への賛歌。 岡本太郎が、…

此処は世界の境界。旅の宿の話

旅は此処から始まる。 大阪・西成の三畳一間。一泊2,000円 バス・トイレなし、テレビ、冷蔵庫、エアコンあり。 所謂、ドヤ街の宿である。 ドヤ街の一泊2,000円は、下の上、である。 ここ西成は、世界の境界。 見上げれば、アベノハルカス。 正面を見れば、バ…

自分は探さない。メタ旅を敢行する話

旅は心地いい。 無職になれば、頻繁に旅をすると思っていた。 実際は、そうではなかった。 旅に行きたいと思わなくなったのだ。 旅が心地よく感じていた理由。 それは、旅が逃亡だったからだ。 仕事、家庭、しがらみ、からの逃亡。 逃亡中の解放感が快楽をも…

これは仮面ではない。岡本太郎美術館での話

これは、岡本太郎美術館に展示されているが、太郎の作品ではない。 太郎が収集した、アフリカ原住民の仮面である。 この仮面は、得体の逸れない「力」を発している。 「力」の本体は、恐怖だ。 人間が本能的に忌み嫌う、形状、色、をしている。 見るほどに恐…

「はやく人生終わらないかな」。タワマンに住む、勝組の笑えない話

彼は、40歳。 共働きの奥さんと、子供が二人。 2年前にタワマンを購入した。 1年前、二人目の子供が生まれた時、三カ月の育休を取得。 いわゆる、イクメンである。 順調な人生を歩む彼だが、いつも浮かない。 彼は、退職した私にぼやいた。 「はやく人生終…

「十二単をまとう女」を眺めながら、江戸川乱歩賞「ノアールをまとう女」を読んだ話

江戸川乱歩賞受賞作は、小説としての完成度が高く、期待して読んだ。 「ノワール」は、フランス語で「黒 noir」。 そして、「まとう」は、「着る」ではない。 「まとわりつく」により近い意味である。 つまり、「黒がまとわりつく女」ということになる。 「…

勉強とは自己破壊である。千葉雅也「勉強の哲学」を読んだ話

「勉強」とは「知る」ことである。 「知る」ことは、自己の「殻」を破壊する。 だが、「殻」の外には、また「殻」があることを「知っている」。 この状態を「勉強」と称している。 「知る」ことは楽しい。 ワクワクする。 知った瞬間、新たな世界が開かれ、…

恐怖との遭遇。東京国立博物館での話。

東京国立博物館へ行った。 此処は、見どころが満載である。 これは、東洋館の片隅に置かれている。 中国・殷時代(紀元前12世紀頃)、王の墓から出土した。 「石彫怪獣」と書かれている。 何かの儀式に使われていたのでは、と推測されている。 奇妙な物体だ…

私的な観劇作法。演劇「小刻みに 戸惑う 神様」を観た話。

観劇の醍醐味は小劇場にある。 舞台と客席とが近接し、境界が曖昧だからだ。 多くの小劇場は自由席で、先着順に席を選ぶことができる。 好みの席を確保するため、開演1時間前には劇場へ行くことにしている。 そして、最前列の右端か左端を選ぶ。 開演まで3…

心の問題? 季節の変化についてはゆけない話

突然、秋になった。 体がだるい。 急な気温の変化に体がついていけない。 体がだるいと、心もだるくなる。 つまり、体も心もだるいのだ。 今日は予定を変更し、一日家でだらだら過ごすことに。 無理をする必要は全くない。 その日気分で、だらだらと過ごせる…

契約回避の最善策は何か? NHKがやってきた話。

NHKの訪問を受けた。 私は受信契約をしていない。 彼らは、NHKを名乗らない場合がある。 今日の訪問もそうだった。 呼び鈴を鳴らし、ドアを叩く。 魚眼レンズを覗いて、怪しいと思ったので、無視していた。 契約を回避する一番の方法は、居留守である。 玄関…

嵐の後には静かで怖い物語。「むらさきのスカートの女」を読んだ話

芥川賞「むらさきのスカートの女」を読んだ。 「言葉を紡ぐ」という表現がある。 一語一語、丹念に紡いである。 完成したのは、ムラサキとキイロの織物。 ムラサキの非日常とキイロい日常。 ムラサキの狂気とキイロい正気。 最後に、ムラサキとキイロは交差…

「天気の子」の呪い。大型台風に備えてみた話。

美しい天気図だ。 綺麗に密な同心円が、何かを期待させる。 台風に備えてみた。 ①食料の備蓄 雨の中買い物に行くのが嫌なので、2日分の食料を買った。 ②図書館で本を借りた 雨の日は、本を読むに限る。 ③洗濯 暫く雨なので、早めにやっておいた。 以上。 つ…

義務と義理と生きがい。介護離職した知人から学んだ話

高齢の両親を介護するため退職した知人に会った。 退職後1年半。 介護は、食事の支度、用足し介助、通院など。 一日中仕事がある。働いたほうが楽だろう。 後何年この生活が続くか、そればかり考えてしまう、そうだ。 義務感だけではできないな、と思う。 …

象の残像。象がいなくなった動物園の話。

この動物園には、お気に入りの場所がある。 そこは、象がいなくなった象舎。 象は3年程前に死んだ。 象舎は象が不在のまま放置されている。 象舎の一角には、象の写真、象への感謝の言葉と品々が置かれる。 象舎の前を通る人の多くは、その場所へ行く。 象…

時間と金と矛盾と。「鎖国」6カ月目に思う話。

無職になり6が月が経過した。 今、思うことが3つ。 初めに、「時間は最も貴重」。 生きている間にやりたいと思っていたことが出来るようになった。 それは、この世界の全てを知ることである。 人類の英知と、世界をこの目で見て感じることである。 これに…

この宇宙はシュミレーションである。プレイステーション3を買った話。

この世界はシュミレーションである、という説がある。 この宇宙は、神のごとき存在がプレイするシュミレーションゲームである。 「SIM UNIVERSE」 宇宙誕生、生命進化を眺めるのは楽しかろうが、人間の世紀はどうだ。 そろそろ、飽きてきたのではないか。 私…

悪の華は何色か? 映画「悪の華」を観た話。

世界に迎合することを拒んだ中学生の物語。 この世界は面倒だらけだ。 それに薄々気付くのが中学頃だろう。 思い起こしても、中学の頃が最も不自由だった。 何かから解放されたい、自由になりたい、と強く感じていた。 目の前にある世界を受け止められずに、…

想像が世界だ。「なめらかな世界と、その敵」を読んだ話

SF要素がある青春小説である。 なめらかな世界とは、 無限にある世界の一つで、その世界は脆弱だが可能性に満ちた世界に見えた。 不可能性だらけの私の世界に、まだ可能性は残っているだろうか。 隠居生活者にとっては痛い話ばかりだった。

科学は美である。国立科学博物館の「風景と科学 展 芸術と科学の融合」での話

国立科学博物館へ行った。 ここに来ると、世界は美しく、奇跡に満ちている、と実感できる。 だから、時折ここを訪ねる。 「風景の科学展」を催してした。 風景写真に科学情報を付加し、展示してある。 例えば、ホモエレクトスがみた最後の景色、とか。 写真…

果たして、太宰は雄弁だったのか。映画「人間失格」を観た話

小栗旬の「太宰」は、よく語った。 雄弁ならば小説を書く必要はない。 語ればいいだけだ。 実物「太宰治」はどんな人物であったのか? 小説を読む限り、彼は常に周囲の期待を察知し、応えてしまう、人間に思える。 今風に言えば、「空気を読む」ということだ…

もはや呪い。ゲーム「ソリティア」が止められない話

「ソリティア」が止められない。 一番クラシカルなゲームで、クロンダイクと呼ばれてるものだ。 そもそも、Windowsに付録としてついてたのだ。 仕事中、手持ち無沙汰になると、ついプレイしていた。 それが習慣となり、朝一番の運試しでやっていた。 一番の…

サピエンス礼賛。ラグビーW杯に心乱される話。

ラグビーのルールはよく知らない。 しかし、この競技は見ているだけで、心が躍る。 サピエンスが狩猟生活を送っていた頃、集団で獲物を追っていた。 屈強な男たちが死に物狂いで戦う姿を想像する。 その困難な時間は、何十万年も続き、現在へと生き延びた。 …

POPとは? 「ジュリアン・オピー」展をみた話

「ジュリアン・オピー」展をみた。 作品のどれもが不自然に見えた。 何か足りないのだ。 何が足りない? 両手に何も持たず、カバンも持たない。 誰もスマホを持っていない。 今時、こんな風景はどこにもない。 多様な人々が自由に闊歩する世界。 そんな世界…

お金の有難みを実感するため現金払い。国民年金・健康保険料を支払った話

国民年金1年分、健康保険料半年分を支払った。 予定していた金額だが、無職には辛い支出だ。 お金の有難みを実感するため、現金で振込むことにした。 総額20万円を超えるため、銀行窓口では、書類記入と本人確認書類が必要だった。 何かと面倒だ。 書類には…

無アクセント地帯とは? 関西弁の演劇「あつい胸さわぎ」を観た話。

私は、無アクセント地帯で生まれ育った。 無アクセント地帯とは、 アクセントで区別する同音異義語(例えば、「はし」である、「橋」「端」「箸」)をアクセントで区別しない地域のこと。 無アクセント地帯の起源は、その地域が国境付近であり、どちらの国に…

バスガス爆発。バス一日券で旅をした話。

バス一日乗車券で小旅行を決行。 目的地はない。 目的はある。 バスの窓に流れる景色を眺めること。 眺めながら、何かを考える、何かを想う。 乗ったバスは11本。 老人、母子、通学、通勤、それは、多分日常の何気ない風景。 私は、彼らの日常を旅した。 私…

時間と自由、どっちが大切か? サマータイムを終了した話。

サマーターム(目覚ましを使わない生活)を終了した。 夏が終わったからではない。 時間の貴重さが身に染みたからだ。 不規則な生活は、時間に流される生活でもある。 時間の中を漂流する生活は、不自由で、苦痛である。 時間を浪費する生活に少し飽きた、の…

体と心、最初に壊れるのは? 無職は体調管理が難しい話。

今週は気温の変化が激しい。 急激な気温の変化は体に負荷がかかる。 50を過ぎた頃から、それを感じるようになった。 体力が落ちたのだ。 当然、気力も。 だから、仕事を辞めた。 無職にとっても、気温の変化は辛い。 今朝は、体がだるく、軽い頭痛があった。…