完全失踪日記

Escape from another.

映画

映画「MOTHER」から思う。母性とは所有欲である話

映画「MOTHER」では、長澤まさみが毒親を怪演している。 観進めるにつれ、長澤まさみのイメージが薄れていった。 最後には「世界の中心で愛をさけぶ」の長澤まさみは消えた。 家族の関係性を描く物語は苦手だ。 どんな内容の物語であっても、常に哀しくさせ…

出東京の話

転居が完了した。 場所は玉出スーパーのあるところ。この選択がどう出るか? それは、人生が終わってみるまでわからない。 だが、今東京を出たことに後悔はない。次の冬の東京は危険だ。

私に残った欲は、睡眠欲だった話

毎日、寝てばかりいる。 外出自粛をし、一日中家にいるからだ。 が、本当のところ感染が怖くて外出を控えている。 私の年齢で感染したら5%の確率で死ぬ、とされている。 大げさな数字なのは解っているが、急に死ぬのは嫌なのだ。 最近の一日はこうだ。 1…

仕事を辞めといて良かった? 退職して一年が経った話

退職して1年が過ぎた。 まさか、こんな不自由になるとは思ってもみなかった。 仮に、まだ働いていたら、仕方なく満員電車で通勤していただろう。 心が正常でいられたか自信がない。 疲れ果て、感染して死んでいたかもしれない。 そう考えると、辞めておいて…

OUT OF MALAYSIA⑤ マレーシア映画館で驚くべき2つの話

マレーシアで映画を観た。 驚くのは、その価格と映画館での人々の行動。 映画館は、いわゆるシネコン。 ショッピングセンタービルにある。 マレーシアでは、鑑賞価格が、曜日や時間で変わってくる。 午前中だったので、11RM(約330円)。 信じられない値段だ…

色んな意味で寂しい。映画「 スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」を観た話

最初のスターウォーズが公開されたのが1978年。 小学生だった。 夢中になった。 スクリーン一杯に広がる、STAR WARSのロゴと、 ジョンウィリアムズのテーマソングに始まる物語にぞくぞくした。 40年経って、物語は完結した。 寂しいだけだ。 LONG LONG TIME …

「秒速5センチメートル」の聖地を訪ねる。 岩舟駅での話

新海誠「秒速5センチメートル」の聖地に出かけた。 岩舟駅である。 今では無人駅となっていた。 時間は流れている。 この映画を観るたび、置き去りにしてきた事々を思いだす。 だから、何度も見てしまう。 そして、何度も思い起こす。 忘れてしまえば、それ…

昭和は遠くなりにけり。映画「HUMAN LOST人間失格」を観た話

昭和111年。 今から17年後、終わらない昭和の物語。 人が、健康長寿と引換えに、尊厳を失った社会。 人間が家畜として生き長らえることの是非を問う。 「人間は恋と革命のために生まれてきたのだ。」 太宰治「斜陽」での一文。 確かに、恋と革命の物語、であ…

悪の華は何色か? 映画「悪の華」を観た話。

世界に迎合することを拒んだ中学生の物語。 この世界は面倒だらけだ。 それに薄々気付くのが中学頃だろう。 思い起こしても、中学の頃が最も不自由だった。 何かから解放されたい、自由になりたい、と強く感じていた。 目の前にある世界を受け止められずに、…

果たして、太宰は雄弁だったのか。映画「人間失格」を観た話

小栗旬の「太宰」は、よく語った。 雄弁ならば小説を書く必要はない。 語ればいいだけだ。 実物「太宰治」はどんな人物であったのか? 小説を読む限り、彼は常に周囲の期待を察知し、応えてしまう、人間に思える。 今風に言えば、「空気を読む」ということだ…

世界からTABOOが消えていく。映画「タロウのバカ」を観た話。

この社会の端に生きる者達の物語。 この社会の端とは何処か? この社会の端の外側には何があるのか? この社会の端に立ち、彼らは叫ぶ。 叫びは歌となり、歌は祈りになる。 祈りはどこにも届かない。

世界は自分と自分以外とで構成されている。映画「よこがお」を観た話。

誰かが悪いのではない。 誰かが狂っているのではない。 誰もがありふれた行為を起こした。 誰もがありふれた行為に対して、ごくありふれた行為を返した。 誰もが幸せになろうと行為するも、誰もが幸せにならない。 他者と向き合えば、困難ばかりが先に立つ。…

物語には毒が必要だ。夏の終わりに「天気の子」を観た話

公開されて1か月以上たつのに、混んでいた。 「君の名は」が健全だったからか、親子連れや、小中学生も多い。 新海誠は、「君の名は」以前、親子で楽しく見るような映画をつくっていない。 それとも、商業主義に迎合してしまったのだろうか? 興味は尽きな…

夏になると、ついつい。「サマータイムマシンブルース」を観ての話

ついつい、繰り返し観てしまう映画がある。 夏は、「サマータイムマシンブルース」。 何度見ても、面白い。 度ごとに発見がある。だから、また見てしまう。 主演は、瑛大と上野樹里。 夏休みの大学、エアコンのリモコンが壊れたのを端に、 はじまるタイムパ…

日本人にとって戦艦大和とは何だったのか? 「アルキメデスの大戦」を観た話。

何故、戦艦大和は造られたのか。 当時、巨艦巨砲主義は既に終焉を迎えていた。 今さら、大戦艦?、だ。 そんなことは皆知っていた。 しかし、皆、誘惑に勝てなかった。 世界一の戦艦を造りたい。 世界一の兵器を持つことはどういうことなのか? その、蠱惑に…

高良健吾だから強い違和感。「アンダー・ユア・ベッド」を満席で観た話。

高良健吾主演の「アンダー・ユア・ベッド」を観た。 満席だった。 若い女性が多い、高良健吾人気である。 正義のストーカーの話。 いや、違う。 ストーカーにも正義はあるかもしれないが、ストーカー行為は正義ではない。 ストーカーの正義の話。 高良健吾が…

映画「町田くんの世界」から何が見える? 私の世界の話

この映画は、町田くんが見ている「世界」の話。 だから、映画の中での町田くんは「神」なのだ。 「世界」は多分あると思う。 「「世界」があって、私がいる。」と私は信じている。 だから、私の感じ方によって「世界」は変わる。 そう、信じさせてくれる映画…

映画「4月物語」の松たか子を見たら、悲しくなった話

好きな映画だ。公開は20年前の1998年。 ささやかで、ありきたりな、でも、希望に満ちた春の物語。 岩井俊二が撮った松たか子が、あまりにも眩しい。 毎年、3月の終わり頃に観ていた。いや、観ることにしていた。 腐りかけている心に、希望という毒を刺すた…

映画「青いパパイヤの香り」を25年ぶりに見たら、驚くことばかりだった話

最近、よくGYAO(https://gyao.yahoo.co.jp/)の無料配信で映画を見ている。 「青いパパイヤの香り」が配信されていたので、見てみることにした。 この映画が公開されたのは、1993年、25年前のことだ。 当時、新宿歌舞伎町にあった「シネマスクエア東急」で…

映画「愛がなんだ」を観て、題名の意味を考えた話

男女5人の物語。 他者への想いが、他者からの想いとが同じでないと、関係性は同等ではない。 この映画では、想いの偏りが極端な、不公平で不平等な関係が丁寧に描写されている。 多様性の時代、様々な価値観が存在し、自己と他者との価値観が一致するのは奇…

中国の青春映画(芳華)を見た話

連休が終わったので、リタイヤ人は活動を開始しました。 見たかった、中国映画(芳華)を見に行きました。 中国語で芳華は「青春」を意味します。 1970 年代、中国の軍で歌や踊りを披露し、兵士たちを慰労する歌劇団員の話。 最近の中国映画は、私の好みにど…