完全失踪日記

Escape from another.

没後50年、三島由紀夫の死の謎。「豊饒の海」の舞台を訪ねた話

1970年11月25日、三島由紀夫は自衛隊市谷駐屯地で自決した。 50年経ったが、今もその死には謎が多い。 晩年の三島は奇行が過ぎたが、天才故の有り余る苦悩がそうさせたように見える。 その苦悩とは何か? 天才の尋常でない感覚を理解することは困…

月曜日の朝、残酷なシュミレーションの話

無職になって一年7ヶ月が経過した。 無職がすばらしいのは、朝決まった時間に起きなくてもいいことだ。 寝たいときに寝て、起きたいときに起きればよい。 目覚ましが必要ない生活だ。 そのことが私を幸せにさせる。 今日は8時半頃に目覚めた。 おもむろに…

脳がとろけていくのがわかる話

毎日、家で過ごしてる。 外出するのは、週に2回の買い物くらいだ。 それさえも面倒になってきた。 外は暑いし、コロナも流行っている。 今は、他者と関わらないことが肯定される。 独りであることが、安全、安心だ。 毎日、独りでだらだら過ごす。 奇妙な至…

出東京の話

転居が完了した。 場所は玉出スーパーのあるところ。この選択がどう出るか? それは、人生が終わってみるまでわからない。 だが、今東京を出たことに後悔はない。次の冬の東京は危険だ。

私に残った欲は、睡眠欲だった話

毎日、寝てばかりいる。 外出自粛をし、一日中家にいるからだ。 が、本当のところ感染が怖くて外出を控えている。 私の年齢で感染したら5%の確率で死ぬ、とされている。 大げさな数字なのは解っているが、急に死ぬのは嫌なのだ。 最近の一日はこうだ。 1…

仕事を辞めといて良かった? 退職して一年が経った話

退職して1年が過ぎた。 まさか、こんな不自由になるとは思ってもみなかった。 仮に、まだ働いていたら、仕方なく満員電車で通勤していただろう。 心が正常でいられたか自信がない。 疲れ果て、感染して死んでいたかもしれない。 そう考えると、辞めておいて…

こんな時だから決断。タイ旅行を予約した話

タイ旅行の航空券を予約した。 こんな時だから安い。 出発は9月、期間は2週間にした。 その頃には、新型コロナも収まっているだろう。 日本人だけに偏見が残っている可能性はある。 だが、タイは優しい。 全てを受け入れてくれる。 それが、タイの魅力だ。…

ワンダーランド・マレーシア。 最後にいくつかの理解不明な話

これは、男子トイレのマーク。 よくわからない。 トイレと言えば、 トイレは水でびしょびしょなことが多い。 そして、謎のホース。 必ずついている。 これを使って洗うらしい。 つまりは、ウオシュレットらしいが、使い方がわからない。 よくわからない。 鉄…

OUT OF MALAYSIA⑥ プール付きのホテルでだらだら過ごす話

マレーシアは快適だった。 日本の冬が一瞬で消えた。 日本の冬をマレーシアで過ごす長短をまとめてみた。 (良かった点) ①適度に暑い 思ったよりも暑くない。 日本の夏よりずっと過ごしやすい。 ②物価が安い 食費、交通費は日本の1/2。 ③食べ物が多彩 マレ…

OUT OF MALAYSIA⑤ マレーシア映画館で驚くべき2つの話

マレーシアで映画を観た。 驚くのは、その価格と映画館での人々の行動。 映画館は、いわゆるシネコン。 ショッピングセンタービルにある。 マレーシアでは、鑑賞価格が、曜日や時間で変わってくる。 午前中だったので、11RM(約330円)。 信じられない値段だ…

OUT OF MALAYSIA④ ただより高いものはない話

クアラルンプールには多数の美術館、博物館がある。 入館無料のところが多い。 無料だが、どこもガラガラだ。 無料の場合、受付で氏名と国名や電話番号などを記入する必要がある。 記入するため、記入している間に、話しかけられる。 「何処から来たのか?」…

OUT OF MALAYSIA③ 神の見えざる手の話

チキンバーガーを買った。 メジャーなフードコートの一角。 目玉商品だが、0.98RM(約27円)。 とにかく、食品は安い。 そして、交通費(電車、タクシー)も安い。 日本の半分程度だ。 この世界には、多くの神が存在し、その手も無数にある。 街には、物もら…

OUT OF MALAYSIA② 人々を欺き続ける秘密の話

マレーシアは多民族国家だ。 国教のイスラム教を信仰するのが60%。 仏教が20%、ヒンドウー教が10%。 其処ら中に、モスク、寺院が点在する。 写真は、ヒンドウー教の聖地。 バツウ洞窟。 巨大な洞窟の中に神々が祀られている。 二千年以上もの間、人々を魅…

OUT OF MALAYSIA① そこに夏はなかった話

マレーシアに夏はない。 年中、同じ気候だ。 だから、体に優しい。 年中、同じ景色だ。 だから、脳に優しい。 脳内の情報が上書きされなくなる。 意識の輪郭が曖昧になる。 時が失われていく。 それは、究極の愉楽。

夏への扉。 マレーシアへ出立する話

常夏のマレーシアへ。 さようなら冬の日本。 クアラルンプールに知人がいる。 彼は、仕事をリタイヤ後、移住したのだ。 もう10年になる。 なので、10年ぶりに会うことになる。 ゴルフ三昧、旅行三昧の生活らしい。 私とは、表面上の価値観がまるで違うが、ベ…

冬を休む。 常夏のマレーシア旅を計画する話

寒い。 冬を休もう。 延期していたマレーシア旅を予約する。 春節(1月25日)前後は避けた方が無難だろう。 ホテルも飛行機も高くなる。 中国人が大挙してやってくる。 1月中旬の10日間としよう。 熱帯のメトロポリタンでだらだら過ごそう。 何も決めない。

「秒速5センチメートル」の聖地を訪ねる。 岩舟駅での話

新海誠「秒速5センチメートル」の聖地に出かけた。 岩舟駅である。 今では無人駅となっていた。 時間は流れている。 この映画を観るたび、置き去りにしてきた事々を思いだす。 だから、何度も見てしまう。 そして、何度も思い起こす。 忘れてしまえば、それ…

過去が崩壊していく。記憶をめぐる旅の話

記憶をめぐる旅をした。 此処は、伊豆半島の温泉リゾート。 25年前に泊まったホテルの現在の姿。 廃墟である。 我が目を疑うが、すぐに受け止める。 間違いない、と。 人の造りし物は壊れ、人の記憶は薄れゆく。 どちらも、跡形もなく消えていく。 消えゆく…

将軍の孤独を味わう。 東京湾で屋形船に乗った話

夕方、屋形船に乗った。 東京湾40分クルーズ。 竹芝付近から出帆し、晴美ふ頭、オリンピック選手村、レインボーブリッジ、お台場を経由した。 将軍コース。1120円。 乗船する時、係員に言われた。 「お一人だけですよ」と。 そう、客は私一人だった。 色々な…

神との対話は大変だ。大嘗祭の宮を観た話

此処は、何もない広場だった。 家康も、想像しえない景色だろう。 建物は質素である。 おそらく、儀式にこのシンメトリー構造物が必要なのだろう。 神との対話は、難儀だ。 映画「未知との遭遇」を思い出す。 哲学者ロラン・バルトが、皇居をこう言出した。 …

旅行は終わり、旅に戻る。「宮本むなし」で〆る話

「宮本むなし」は定食屋である。 大阪・奈良・京都。 兵どもの夢の跡を転々と、最後は「むなし」で〆ることにする。 食べたのは、かつ丼。 旅行を終える。 終わっても、帰る場所も、帰る日常も、無いことに気づく。 かつ丼はうまい。 むなしくはない。 「私…

人体模型の怨。島津記念館で思い出した話

京都に島津製作所の本社がある。 神社仏閣より先に、島津記念館へ出かけた。 島津製作所が製作した歴代の分析機器が展示されている。 島津製作所機器のデザインは独特で、一目で、それとすぐに分かる。 今回、武骨なフォルムのルーツを見ることができた。 分…

宝とは何か? 正倉院展で思う話

奈良国立博物館で「正倉院展」を観た。 平日なので混んでいないが、外国人が目立つ。 此処では、鹿よりも外国人が多い。 光るものを美しい感じる。 人間の感覚は純粋で単純だ。 光るのは、光の反射である。 反射的に美しいと感じるだけだ。 金色を反射する黄…

太陽の塔。4つの顔の話

太陽の塔へ。 異様で素敵な、不思議な像である。 その存在に圧倒される。 解体しなかったのは英断だ。 2年前、内部をリニューアルし、公開している。 太陽の塔の魅力は、その内部にこそある。 内部を貫く生命の樹。 生命の進化と人類への賛歌。 岡本太郎が、…

此処は世界の境界。旅の宿の話

旅は此処から始まる。 大阪・西成の三畳一間。一泊2,000円 バス・トイレなし、テレビ、冷蔵庫、エアコンあり。 所謂、ドヤ街の宿である。 ドヤ街の一泊2,000円は、下の上、である。 ここ西成は、世界の境界。 見上げれば、アベノハルカス。 正面を見れば、バ…

自分は探さない。メタ旅を敢行する話

旅は心地いい。 無職になれば、頻繁に旅をすると思っていた。 実際は、そうではなかった。 旅に行きたいと思わなくなったのだ。 旅が心地よく感じていた理由。 それは、旅が逃亡だったからだ。 仕事、家庭、しがらみ、からの逃亡。 逃亡中の解放感が快楽をも…

バスガス爆発。バス一日券で旅をした話。

バス一日乗車券で小旅行を決行。 目的地はない。 目的はある。 バスの窓に流れる景色を眺めること。 眺めながら、何かを考える、何かを想う。 乗ったバスは11本。 老人、母子、通学、通勤、それは、多分日常の何気ない風景。 私は、彼らの日常を旅した。 私…

無念? マレーシア視察旅行を無期延期した話

来週予定してたマレーシア視察旅行を延期した。 冬は、常夏の東南アジアへ逃込もうと思っている。 候補は3つあり、①タイ②台湾③マレーシア。 ①②は、何度か行っている。 ③は、15年位前に一度行ったきりで、最近の様子が分からない。 それなら、一度行ってみよ…

旅の話(その3:松代大本営地下壕)「聖から終へ」

旅の終わりは、いつも寂しい。 最後に訪れたのは、松代大本営地下壕。 太平洋戦争末期、軍が本土決戦の最終拠点として建設した施設。 碁盤の目のように掘り抜かれ、総延長は約10キロ。 旅の行きつく先に相応しい場所。 平日の昼間、入場者は誰もいない。 入…

旅の話(その2:山寺)「俗から聖へ」

山形の山寺へ。 何もない山中に忽然と寺院がある。 斜面に二十余りの建物が、ひしめき並び建つ。 この地に寺を建立したのは、異様な形の岩々があったからではないか。 「閑さや 岩にしみいる 蝉の声」の岩である。 此処には、世俗にはない、何かがあるよう感…