完全失踪日記

Escape from another.

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

30年の遺恨。中井英夫「虚無への供物」をやっと読めた話

高校生の頃、ミステリー小説に凝っていた。 狂っていた、といってもいい。 風呂の中にさえ、本を持ち込んでいた。 その趣向は、大学に行っても暫くは続いたが、 読書の幅は多岐にわたるようになり、ミステリーから距離を置くようになった。 当時、日本ミステ…

岡本太郎とは何者か? 青山にある記念館での話

岡本太郎記念館を訪ねた。 月曜日に開いている美術館は珍しい。 岡本太郎のアトリエを改築し、作品の展示スペースにしてある。 意図的なのか、説明もなく、雑然と作品が置かれている。 これが、岡本太郎らしい、ということかもしれない。 岡本太郎といえば、…

アリが蟻であるために。アリ観察キットを買った話

小型のアリの巣観察キットを買った。 2,500円弱の買い物だ。 まずは、アリの捕獲と餌が必要だ。 餌は、ビスケットを潰して与えようと思う。 狭い部屋の中、さらに小さいアリの部屋を置く。 アリにとっての宇宙を部屋の片隅に置く。

加油香港!すでに香港はHongKongでない話

香港にはこれまで15回くらい行った。 香港の持つエネルギーに魅せられ、つい、また、行ってしまう。 結果、中国返還から今まで、移りゆく香港を見てきた。 ここ10年、急速に、かつての香港らしさは、失われている。 九龍の雑然とした街は廃れ、小奇麗なビル…

今20歳でなくて本当に良かった。国民年金保険の加入手続をした話。

国民年金保険加入のため、市役所に行った。 窓口に先客がいて、しばらく待った。 窓口のすぐ後ろに待っているので、話声が聞こえる。 20歳になるので、加入する旨の相談だ。 年金制度について、かなり詳しく説明している。 しばらく時間がかかるな、と諦め、…

国民年金保険の免除申請するか? 年金事務所から連絡がきた話

年金事務所から郵便物が届いた。 平成31年4月からの年金加入状況を調査するものである。 再就職していないので、厚生年金を離れ、国民年金に加入する必要がある。 保険料は、1か月16,410円。1年分だと196,920円。 結構な額である。 収入がないので、免除申…

芥川龍之介の命日に、唯ぼんやりと思う話

7月24日は、芥川龍之介が服毒自死した日。 92年前のことである。 原因は「僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安」であるとも言われる。 時折、ふと、「ぼんやりとした不安」について想う。 私は、未婚で子供もいないので、残る人生のイベントは「自分の死…

白日の背徳。平田オリザ「北限の猿」を見た話

舞台を観るには、白昼がよい。 好天だと尚更。 現実世界から舞台世界への敷居は、高く、ずれている程いい。 平田オリザは、現実と舞台の境界を曖昧にする。 いつともなく始まり、終わりに気づかないよう終わる。 そのわざとが、かっこいい。 世界(現実)と…

まるで鶏小屋。夏休みの図書館にうんざりした話

今日からが本当の夏休み。 様子見に図書館へ行く。 先週までとは様子が一変。 人が多い。倍くらいに感じる。 いつもなら、半分くらい空いている席、ほとんどの席が埋まっている。 窮屈だ。割って入る気にもならない。 何かに似ていると思ったら、鶏小屋だっ…

創ることは楽しいか? 芸術家の公開制作をみた話

画家の制作を公開していた。 彼は、描いていた。 60歳近いおじさんが、黙々と描く光景は不思議だ。 淡々と作業をしている。 室内は整頓されている。 彼はポスター職人だ、と言われても、信じる。 芸術は爆発、ではないのか? 芸術は、苦悩とともに、この世界…

自意識レベルが低下。自分で散髪した話

床屋が面倒になり、自分で切ることにした。 道具は、ハサミとバリカンを買った。 髪はまだあるが、半分くらいは白髪だ。 軽い天然パーマなので、適当に切っても大丈夫、と思う。 何が大丈夫か? どんな髪形をしていようが、私のことなど誰も気にしない、と思…

8月の憂鬱。サマータイムを導入する話

昼間の街に子供たちが目立つ。 夏休みである。 このところ涼しいので、忘れていた。 退職前から、 「夏休み期間中をどう過ごすか?」が課題だった。 主戦場の図書館もプールも混雑するだろう。 旅行に行くにも、高くつくし、混んでいるだろう。 どこもここも…

闇の中に見え得たもの。クリスチャン・ボルタンスキー展を観た話

知らなかった。 知らないまま観ることに。 50余の作品、一つ一つの意味は解り得ない。 しかし、全ての作品が発する力に圧倒される。 背後に「死」がちらつくが、「死」を表現したものでないはずだ。 生は遂げたが、生きた証として殻は残る。 生の抜け殻は、…

いつ話すのが正解か? 仕事を辞めたことを親族に話してない話

親族に相談しないで、仕事を辞めた。 私は、大学進学と同時に実家から離れた。 両親は他界し、実家には弟がいるが、その他の親族とは疎遠だ。 弟ともほとんど連絡をとることもない。 あれこれ相談する親族がいない、ということ。 当分は、仕事を辞めたことを…

装丁と題名に惑わされ。三浦しをん「愛なき世界」を読んだ話

美しい装丁の本だ。 図書館で読むには気恥ずかしい。 この外観で、「愛なき世界」とすると、中身は? 読む前に内容を想像してみたが、全てが裏切られた。 おかげで、楽しく読めた。 読み終えて、改めて本を見る。 「まあ、そうだよな。三浦しをんだし。」と…

我家の冷蔵庫はホテル仕様。毎日が旅行気分な話。

冷蔵庫を持っていない。 備え付けの冷蔵庫を使っている。 小さいし、冷凍もできないし、きっと不便だ。 2ドア冷蔵庫を買おう、と考えていたが、買わずに2年経過した。 慣れてくると、これで十分。 近くに、コンビニもスーパーもあるので、買いに行けば済む…

このままでは、部屋がカビだらけになる話

我が家は、激安・訳ありマンションだ。 そして、実際に住んでみると、激安の理由が体感できる。 その一つは、日が全く当たらないことだ。 北向きの窓が一つあるが、直射日光が差すことはない。 冬は寒く、夏は涼しい。 同じマンションの住人の様子を見ている…

財布と金運は連動するか? 財布を替えた話

財布を替えた。 使い始めて10年。 ずいぶんくたびれたし、そろそろいいかな、という消極的な理由。 財布を替えるにあたり、気になることが。 ギャンブル好きのおばさんが言っていた。 「財布は大事だよ」と。 そして、ずっと、がま口財布を使っていた。 お金…

罪と罰と法。明治大学博物館での話

明治大学博物館にいった。 ここは昔、刑事博物館と呼ばれていた。 法と刑罰の歴史を理解するため、刑罰の道具、拷問の道具、が展示されている。 法とは何か? 法は、罪とその罪に相当する罰を規定する。 法は、人を殺してはいけない、と言わない。 「罪があ…

現金で払うと重税感が増す! まとめて住民税を収めた話

住民税1年分、支払った。いや、収めた、というべきか。 分かってはいても、気分が悪い。 現金で払ったものだから、払った感がとても強い。 税金取りすぎじゃない?と思ってしまう。 そもそも、所得税とって、消費税とって、住民税(都民税)とることは、違…

川上未映子「夏物語」を読んだ話

発売は明日らしい。 文学界3月・4月号に載っていたので、 一足早く?読む。 登場する殆どが女。皆、強く、逞しい。 男は、存在を認められていない。 男は、彼女たちの行動が理解できないし、 彼女たちは、理解して欲しいとも願っていない。 お手上げである…

人間にとって美とは? 国立東京博物館へ行った話

東京国立博物館へ出かけた。 何度か行っているが、常設展示をじっくり観たのは初めて。 すぐに、一日ですべて観ることはできないことがに分かる。 展示品が多すぎるし、一つ一つが持つエネルギーに圧倒される。 それでも、3時間粘る。 自分の感性に頼って観…

村上春樹の短編新作を読んだ話

週に2回は、図書館へ行くことにしている。 その日の気分で本を選び、読みたい分だけ読む。 本を選ぶのも楽しみの一つだ。 村上春樹の新作が目に入ったので読むことに。 2作も読めるとは贅沢。 内容はともかく、確かに「村上春樹」だった。

今さら、角田光代「愛がなんだ」を読んだ話

映画「愛がなんだ」を観たのは2カ月も前。 今も映画はロングランを続けている。 正直、多くの人が観る映画とは思えなかった。 今さらだが、原作に興味が沸いた。 映画をみた後、原作を読むのは珍しい。 映画の場面を思い浮かべながら、読み進める。 映像の…

国会図書館の書庫は地下に増築され続けている、これは本当の話?

国立国会図書館に行った。 国内で出版された全ての本があるという。 それだけで、図書館好きにとって憧れの図書館。 身分証を持って、利用手続きをする。 簡単な書類に、住所・氏名などを記載し、を出すだけだ。 20分くらいすると、受付番号が呼ばれ、カード…

旅の話(その3:松代大本営地下壕)「聖から終へ」

旅の終わりは、いつも寂しい。 最後に訪れたのは、松代大本営地下壕。 太平洋戦争末期、軍が本土決戦の最終拠点として建設した施設。 碁盤の目のように掘り抜かれ、総延長は約10キロ。 旅の行きつく先に相応しい場所。 平日の昼間、入場者は誰もいない。 入…

旅の話(その2:山寺)「俗から聖へ」

山形の山寺へ。 何もない山中に忽然と寺院がある。 斜面に二十余りの建物が、ひしめき並び建つ。 この地に寺を建立したのは、異様な形の岩々があったからではないか。 「閑さや 岩にしみいる 蝉の声」の岩である。 此処には、世俗にはない、何かがあるよう感…

旅の話(その1:水沢競馬場)「先人の話を聞く旅」

その人は、親の介護を理由に55歳で仕事を辞めた。 その人は、仕事を辞めても故郷に帰らず、東京で3年間遊び、今年2月故郷に帰った。 その人は、「今年仕事を辞めた」と、親兄弟には伝えた。 その人は、独身である。 その人は、結婚歴はなく、子供もいない…