完全失踪日記

Escape from another.

ミュージアム

感染爆発の前にこそ。美の爆発を観た話

岡本太郎美術館に行った。 岡本太郎現代芸術賞が展示されていた。 芸術が全力で爆走していた。 人のもつ底力の凄さを感じた。 美の力は偉大だ。 なんとか、なる。

OUT OF MALAYSIA④ ただより高いものはない話

クアラルンプールには多数の美術館、博物館がある。 入館無料のところが多い。 無料だが、どこもガラガラだ。 無料の場合、受付で氏名と国名や電話番号などを記入する必要がある。 記入するため、記入している間に、話しかけられる。 「何処から来たのか?」…

色、踊り、燃ゆる。 ゴッホ展での話。

どの絵も美しくなかった。 苦悩や恐れに満ちてさえいる。 その力に圧し潰されそうだ。 織りなす色彩の躍動に乱される。 自分が卑小に見える。 凝視することができない。 緑と黄のなす炎が燃え移りそうだ。

何だか解らないが気持ちの悪いもの。岡本太郎美術館での話

これは岡本太郎の作品ではない。 それは、見ればわかる。 奇異な像が二つあった。 別の作家の作品である。 一体目。⇧ 見るほどに薄気味悪い。いびつ、である。 部分部分を見れば人間だが、全体では、人間の様で人間ではないからだ。 感じる違和感が恐れに達…

今さら、人・神・自然 ? 東京国立博物館での話

数千年も受継がれし造形物は、どれも似ている。 対象が、人自身、神を模したもの、自然を写したもの、であっても。 時を超えるうる共通の理由がある。 人・神・自然の三分には違和感を感じた。 三者の境界は不明瞭だ。 今や、 人=Big data 神=Google 自然…

言語表現を超えるための一つの試み。カミーユ・アンロ「蛇を踏む」での話

現代美術は多様だ。 作品を前にし、その意味を考えることは無意味だ。 感じるしかない。 この作品は、ニーチェ「道徳の系譜」をイメージして創られている。 テクストを生け花(イメージ)に変換しているのだ。 言語表現の限界を超える一つの試みだろう。 人…

隠居生活者は入場できますか? ジブリ美術館での話

独りで入場の列に並ぶのが気恥ずかしい。 前門の女子高生、後門の親子連れ。 皆は楽し気、私は所在無い。 園内は、子供と外国人とで大賑わい。 人を掻き分け一周し、30分程度で退却す。 既に、居場所のない場所があるのだ。 鋼鉄のロボット兵のように、静か…

純粋な毒は美である。「齋藤芽生とフローラの神殿」での話

毒、毒、毒、どれも、毒そのもの。 生き物の秘める毒が滲み出るのが見える。 しかし、不快ではない。 美しい。 純粋な毒は結晶化し、華と成る。

表現は説明ではない。ダムタイプ/ACTION+REFLECTINOS での話

1990年代後半、ダムタイプは現れた。 表現が全く斬新で、圧倒された。 抽象的な表現は、意味は分からなくとも、秘める情報の重厚さは届いた。 「よく理解できないが、何かすごいと」と感じたのは、YMO以来であった。 20年が経ち、凄さの理由に少しだけ触れる…

オランウータンの留学生。秋の動物園での話

動物園では、類人猿に注目する。 人の世の縮図が見れる。 彼女は、インドネシアからの留学生。 人間に育てられた。 だから、オランウータンの社会を学ぶためにやってきた。 と、説明にあった。 実際の彼女は、今も頭陀袋を被ったままだ。 独りで、他のオラン…

彼が見る世界が見えない。「バスキア展」での話

バスキアは27歳で死んだ。 薬物中毒だった。 彼が描くものは、尖っている。 笑わない。 子供は泣いている。 世界が美しいとは思っていない。 世界は悪意に満ちている。 自分も醜い。 全部が哀しい絵だ。

D計画とは何か?「小松左京展」での話

小松左京は、破壊神である。 「日本沈没」で日本列島を破壊。 「さよならジュピター」で木星を破壊。 D計画の「D」は、Disaster(災害)のDである。 そして、創造主である。 遺作で未完の「虚無回廊」では「人工実存」を創造した。 「人工実存」とは意識を持…

人体模型の怨。島津記念館で思い出した話

京都に島津製作所の本社がある。 神社仏閣より先に、島津記念館へ出かけた。 島津製作所が製作した歴代の分析機器が展示されている。 島津製作所機器のデザインは独特で、一目で、それとすぐに分かる。 今回、武骨なフォルムのルーツを見ることができた。 分…

宝とは何か? 正倉院展で思う話

奈良国立博物館で「正倉院展」を観た。 平日なので混んでいないが、外国人が目立つ。 此処では、鹿よりも外国人が多い。 光るものを美しい感じる。 人間の感覚は純粋で単純だ。 光るのは、光の反射である。 反射的に美しいと感じるだけだ。 金色を反射する黄…

これは仮面ではない。岡本太郎美術館での話

これは、岡本太郎美術館に展示されているが、太郎の作品ではない。 太郎が収集した、アフリカ原住民の仮面である。 この仮面は、得体の逸れない「力」を発している。 「力」の本体は、恐怖だ。 人間が本能的に忌み嫌う、形状、色、をしている。 見るほどに恐…

恐怖との遭遇。東京国立博物館での話。

東京国立博物館へ行った。 此処は、見どころが満載である。 これは、東洋館の片隅に置かれている。 中国・殷時代(紀元前12世紀頃)、王の墓から出土した。 「石彫怪獣」と書かれている。 何かの儀式に使われていたのでは、と推測されている。 奇妙な物体だ…

象の残像。象がいなくなった動物園の話。

この動物園には、お気に入りの場所がある。 そこは、象がいなくなった象舎。 象は3年程前に死んだ。 象舎は象が不在のまま放置されている。 象舎の一角には、象の写真、象への感謝の言葉と品々が置かれる。 象舎の前を通る人の多くは、その場所へ行く。 象…

科学は美である。国立科学博物館の「風景と科学 展 芸術と科学の融合」での話

国立科学博物館へ行った。 ここに来ると、世界は美しく、奇跡に満ちている、と実感できる。 だから、時折ここを訪ねる。 「風景の科学展」を催してした。 風景写真に科学情報を付加し、展示してある。 例えば、ホモエレクトスがみた最後の景色、とか。 写真…

POPとは? 「ジュリアン・オピー」展をみた話

「ジュリアン・オピー」展をみた。 作品のどれもが不自然に見えた。 何か足りないのだ。 何が足りない? 両手に何も持たず、カバンも持たない。 誰もスマホを持っていない。 今時、こんな風景はどこにもない。 多様な人々が自由に闊歩する世界。 そんな世界…

岡本太郎とは何者か? 青山にある記念館での話

岡本太郎記念館を訪ねた。 月曜日に開いている美術館は珍しい。 岡本太郎のアトリエを改築し、作品の展示スペースにしてある。 意図的なのか、説明もなく、雑然と作品が置かれている。 これが、岡本太郎らしい、ということかもしれない。 岡本太郎といえば、…

創ることは楽しいか? 芸術家の公開制作をみた話

画家の制作を公開していた。 彼は、描いていた。 60歳近いおじさんが、黙々と描く光景は不思議だ。 淡々と作業をしている。 室内は整頓されている。 彼はポスター職人だ、と言われても、信じる。 芸術は爆発、ではないのか? 芸術は、苦悩とともに、この世界…

闇の中に見え得たもの。クリスチャン・ボルタンスキー展を観た話

知らなかった。 知らないまま観ることに。 50余の作品、一つ一つの意味は解り得ない。 しかし、全ての作品が発する力に圧倒される。 背後に「死」がちらつくが、「死」を表現したものでないはずだ。 生は遂げたが、生きた証として殻は残る。 生の抜け殻は、…

罪と罰と法。明治大学博物館での話

明治大学博物館にいった。 ここは昔、刑事博物館と呼ばれていた。 法と刑罰の歴史を理解するため、刑罰の道具、拷問の道具、が展示されている。 法とは何か? 法は、罪とその罪に相当する罰を規定する。 法は、人を殺してはいけない、と言わない。 「罪があ…

人間にとって美とは? 国立東京博物館へ行った話

東京国立博物館へ出かけた。 何度か行っているが、常設展示をじっくり観たのは初めて。 すぐに、一日ですべて観ることはできないことがに分かる。 展示品が多すぎるし、一つ一つが持つエネルギーに圧倒される。 それでも、3時間粘る。 自分の感性に頼って観…

表参道に迷宮? デヴィッド・リンチ展の話

主な展示は、絵と写真だった。 どこまでも、難解だ。 おまけに、暗くて、グジャグジャだ。 何かを表現している、とは見えない。 リンチの脳内イメージを二次元化しているのだろう。 彼にとって、この世界は、薄暗く、醜悪なもので満ちている、のだ。 そう思…

本に囲まれていると幸せになる話

東洋文庫ミュージアムを訪ねた。 そこには、壁全面が本で囲まれた部屋がある。 三菱の三代目岩崎久嗣が、モリソン文庫(2万4千冊)をまるごと買い取ったのもの。 総額70億円(今の価格)なので、1冊あたり30万円弱の計算。 不規則に並べられた本の美しさ…

醜悪すぎるものを美しいと感じる話

東京駅前、行幸地下ギャラリーで若手アーテイストの作品が展示されていた。 平日の昼間、人通りはまばら。 おかげでゆっくり見れた。 その中に、目が奪われる作品群があった。 残念ながら、写真では分かりづらいが、 よく見ると、身体から黒い黴の胞子が溢れ…

どこまでが本気なのか? マクドナルドの掛け軸をみた話

これらの作品群は、かっこいいのか?クールなのか? それとも、ただのおふざけか? 一連の作品が、一定の思想を基にし製作されたことは良く解る。 茶道の本質は心なのだから、道具の姿形はどうでもよい、ということなのだろう。 これが、アメリカ人芸術家が…

世界に4つしかない茶碗「曜変天目」に何を入れるか?考えた話

世界に4点しかない茶碗「曜変天目」のひとつを観た。それにしても「曜変天目」とは奇異な名前だ。星が瞬く宇宙をイメージしてつけられた名前らしいが、妙な違和感を感じていた。漢字の並びと字面の不可解さかが、嫌な感じの原因だと思えた。 実物を観ると、…

渋谷で満天の星空を見上げた話

満天の星が観たくて、渋谷のプラネタリウムを28年ぶりに訪ねた。 東急文化会館の屋上にあった五島プラネタリウムは今はないが、区が運営するコスモプラネタリウム渋谷となって残っている。 東急文化会館がなくなったのは寂しいが、渋谷にプラネタリウムが残…