本
難しい言葉はない。 思わせぶりな表現もない。 ひたすら、人間を書いている。 人間が自由を求め、あがく様が浮かぶ。 刈取っても刈取っても、草は繁茂することを止めない。 自由を阻むように。 誰もが、セイタカアワダチソウのごとく、未知の世界で根をはる…
宇宙物理学者の仕事は、想像と検証作業である。 本質的には、SF作家と同じだ。 宇宙とは何なのか?宇宙を支配する法則はあるのか? 全ては、想像することから始まる。 想像が像を結ばなければ、次に進めない。 想像した姿が、相対性理論、量子論、天体観測結…
脳神経科学は、意識を物質に完全還元できると想定する。 つまり、意識は脳内の物理化学反応である、と考えている。 ガブリエルは、この考えを神経中心主義とし、本書で激しく非難する。 人間の尊厳を著しく侵害する思想だと。 ガブリエルは、人間の自由意志…
古市憲寿の小説を読むのは3作目だ。 どれも、文体が異なる。 器用なのだろう。 どれも、孤独を書いている。 不器用なのだろう。 この世界は、この人の世は、こんなもんだろう。 と、飽き飽きしているだろう。 辛そうだ。
江戸川乱歩賞受賞作は、小説としての完成度が高く、期待して読んだ。 「ノワール」は、フランス語で「黒 noir」。 そして、「まとう」は、「着る」ではない。 「まとわりつく」により近い意味である。 つまり、「黒がまとわりつく女」ということになる。 「…
「勉強」とは「知る」ことである。 「知る」ことは、自己の「殻」を破壊する。 だが、「殻」の外には、また「殻」があることを「知っている」。 この状態を「勉強」と称している。 「知る」ことは楽しい。 ワクワクする。 知った瞬間、新たな世界が開かれ、…
芥川賞「むらさきのスカートの女」を読んだ。 「言葉を紡ぐ」という表現がある。 一語一語、丹念に紡いである。 完成したのは、ムラサキとキイロの織物。 ムラサキの非日常とキイロい日常。 ムラサキの狂気とキイロい正気。 最後に、ムラサキとキイロは交差…
SF要素がある青春小説である。 なめらかな世界とは、 無限にある世界の一つで、その世界は脆弱だが可能性に満ちた世界に見えた。 不可能性だらけの私の世界に、まだ可能性は残っているだろうか。 隠居生活者にとっては痛い話ばかりだった。
書き出しはこうだ。 「誰にでも少年時代はあるが、誰もがそれに呪われている。」 今さら自伝かよ、と思いつつ、 平成版人間失格を期待していた。 少年時代、島田雅彦は異端ではなかった。 異端になりたい、異端でありたい、異端であろうとする少年であった。…
20歳の頃一度読んだ。 どこが青春小説の名作か、と思った。 面白くもなんともない、記憶しかない。 今さら青春もないだろうが、 村上春樹の翻訳が読みたかったのだ。 主人公は、自分を囲む世界の殆どすべてを否定しながら、逃げ回る。 やり場のない思いを剥…
高校生の頃、ミステリー小説に凝っていた。 狂っていた、といってもいい。 風呂の中にさえ、本を持ち込んでいた。 その趣向は、大学に行っても暫くは続いたが、 読書の幅は多岐にわたるようになり、ミステリーから距離を置くようになった。 当時、日本ミステ…
美しい装丁の本だ。 図書館で読むには気恥ずかしい。 この外観で、「愛なき世界」とすると、中身は? 読む前に内容を想像してみたが、全てが裏切られた。 おかげで、楽しく読めた。 読み終えて、改めて本を見る。 「まあ、そうだよな。三浦しをんだし。」と…
発売は明日らしい。 文学界3月・4月号に載っていたので、 一足早く?読む。 登場する殆どが女。皆、強く、逞しい。 男は、存在を認められていない。 男は、彼女たちの行動が理解できないし、 彼女たちは、理解して欲しいとも願っていない。 お手上げである…
週に2回は、図書館へ行くことにしている。 その日の気分で本を選び、読みたい分だけ読む。 本を選ぶのも楽しみの一つだ。 村上春樹の新作が目に入ったので読むことに。 2作も読めるとは贅沢。 内容はともかく、確かに「村上春樹」だった。
映画「愛がなんだ」を観たのは2カ月も前。 今も映画はロングランを続けている。 正直、多くの人が観る映画とは思えなかった。 今さらだが、原作に興味が沸いた。 映画をみた後、原作を読むのは珍しい。 映画の場面を思い浮かべながら、読み進める。 映像の…
国立国会図書館に行った。 国内で出版された全ての本があるという。 それだけで、図書館好きにとって憧れの図書館。 身分証を持って、利用手続きをする。 簡単な書類に、住所・氏名などを記載し、を出すだけだ。 20分くらいすると、受付番号が呼ばれ、カード…
2日連続で図書館に行くことになる。 図書館の人間模様は愉快だが、これはまた別の機会に。 この本「熱帯」が、「熱帯」の中に出てくる本「熱帯」なのか? はどうでもよく、 多分この問いよりも重要なのは、 「熱帯」の中に出てくる森見登美彦が、この本「熱…
読んだ後、何か古いな、と思ってしまった。 発表が去年9月、令和になってから読む本ではなかったのだろう。 こういう本を読むと、今を生きることの息苦しさを、改めて思い知らされる。 他者との関わり方、世界との関わり方、 小説の主人公のようには、到底い…
村上春樹の最新短編「三つの短い話」を読んだ。 正直、何?と思った。 いつものことだが、謎を謎のまま放置。 放置の仕方も工夫がない。 これで本当にいいの? 表紙に「村上春樹」と大きく入れれば、雑誌は売れるのだろうか? 落胆し、本を書棚に返そうと思…
本を貸出さない図書館がある。 ということは、人気のある新刊も図書館内にあって、自由に閲覧できる。 市民図書館だと半年待ちの本も、その日の先着順で読み放題である。 別の本を読むつもりで出かけたが、それは誰かが読んでいるのだろう、なかった。 そこ…
週に一度は、図書館とプールの組合せで過ごすことにした。 午前2時間、図書館で本を読み、その後1時間くらい市民プールで泳ぐ。 脳と体とをバランスよく使いたい。 今日は、気になっていた、古市憲寿「百の夜は跳ねて」を読んだ。 肩書が多様な彼がどのよ…
東京の地図を買った。持ち運びできる文庫版にした。 スマホの地図アプリは便利だが、紙の地図を眺めるのが好きだ。 見ているだけで、そこにいる気分になれる。 しばらくは、地図を片手に知らない東京の街を散策するつもりだ。 変容していく都市を歩いて巡る…
「お金2.0」は、お金の概念がバージョンアップする、とう意味ではない。 「脱資本主義」「脱お金至上主義」ということだった。 お金中心の価値観(お金がたくさん=幸せ)は終わり、お金は本来の役割(交換手段)に戻っていく。 お金を稼ぐためだけにに働き…
久しぶりの雨降りで、外に出られず。 気になっていた小説「続 横道世之介」を読むことに。 「横道世之介」を知ったのは、映画「横道世之介」。 主人公、「世之介」を演じたのは、高良健吾。 今になって思えば、小説の世之介と比べ、かっこよすぎなので、少々…
市立図書館の予約システムを利用しています。 WEB上で予約しておくと、希望する図書館に届けておいてくれる、便利なサービスです。 この本を予約したのは1年以上前、どうしてこの本を予約したのかさえ忘れています。 本を手にして思ったのは、「センスのな…