旅の話(その2:山寺)「俗から聖へ」
山形の山寺へ。
何もない山中に忽然と寺院がある。
斜面に二十余りの建物が、ひしめき並び建つ。
この地に寺を建立したのは、異様な形の岩々があったからではないか。
「閑さや 岩にしみいる 蝉の声」の岩である。
此処には、世俗にはない、何かがあるよう感じる。
世俗から離れ、祈り続けるのも悪くはない。
祈り、ひたすら祈る行為は、自意識のレベルを下げる。
自意識と無意識の境界を意識的に曖昧にし、その状態を意識的に意識しない状態。
これが無我ではなかろうか。
仏門に入るのも、選択肢にあるかもしれない。