高校生の頃、ミステリー小説に凝っていた。
狂っていた、といってもいい。
風呂の中にさえ、本を持ち込んでいた。
その趣向は、大学に行っても暫くは続いたが、
読書の幅は多岐にわたるようになり、ミステリーから距離を置くようになった。
当時、日本ミステリーの奇書と呼ばれる、3つの本があった。
①夢野久作「ドグラ・マグラ」
②小栗虫太郎「黒死館殺人事件」
③中井英夫「虚無への供物」
①は既読だったが、②③は積読状態だった。
特別な本は特別な時に読もう、そう思っていたが、結局読まず仕舞い。
本もどこかにいった。
以来、30年。
やっと「虚無への供物」を読んだ。
今も、この本は奇書であろう。
今日は特別な日でも何でない。