世界に4点しかない茶碗「曜変天目」のひとつを観た。
それにしても「曜変天目」とは奇異な名前だ。
星が瞬く宇宙をイメージしてつけられた名前らしいが、妙な違和感を感じていた。
漢字の並びと字面の不可解さかが、嫌な感じの原因だと思えた。
実物を観ると、「奇妙で哀しい」と感じた。
ガス星雲のように鈍く光る濃紺より、むしろ、暗い部分に魅入られた。
斑の蒼い光が漆黒の中に溶けている像。
この世界が光り輝くものだとしても、世界は闇の中にあり、いずれ闇に蔽われる。
茶碗だから何かを入れるだろうが、何を入れようか。
水で満たした茶碗に真黒な金魚を一匹、水面に月のない闇の夜空が映るよう置く。