オランウータンの留学生。秋の動物園での話
動物園では、類人猿に注目する。
人の世の縮図が見れる。
彼女は、インドネシアからの留学生。
人間に育てられた。
だから、オランウータンの社会を学ぶためにやってきた。
と、説明にあった。
実際の彼女は、今も頭陀袋を被ったままだ。
独りで、他のオランウータンをじっと見ていた。
あまり動かない。
彼女は、本当に何かを学んでいるのだろうか?
袋を被ったままでは野生に帰れるとは思えない。
引きこもり、である。
動物園で一番面白いのは、人間である。
大人も子供も皆勝手。
人間社会の檻は透明だが、頑丈だ。