D計画とは何か?「小松左京展」での話
小松左京は、破壊神である。
「日本沈没」で日本列島を破壊。
D計画の「D」は、Disaster(災害)のDである。
そして、創造主である。
遺作で未完の「虚無回廊」では「人工実存」を創造した。
「人工実存」とは意識を持ったAIである。
物語では、地球から5.8光年離れた位置に現れた、巨大な人工物(SS)に向け探査機が向かう。探査機がSSに到着するまでには、数十年かかるため、生身の人間では到達できない。人間の代わりに探査機に乗り込んだのが、「人工実存」を搭載した人間型AI。
「人工実存」は「ヒトの意識」であろう。
ヒトの意識を機械化できると想定している。
小説は未完なので、「不完全な意識」である可能性は残る。
「意識」とは何か?
脳科学では、「意識」とは、脳内で起こるシナプスの発火、という唯物的な結論に向かおうとしている。
哲学が何百年も向合うも回答が得られない難問であるにもかかわらず、である。
「意識」が脳内の物理現象に過ぎず、デジタルコピー可能ならば・・・。
ヒトの自由はない、ことになろう。
なぜなら、自由意志を持たないのだから、自由を付与する必要がないのだ。
自由のないヒトは、存在の意義や意味も持ちえない。
つまり、「脳のない人間」の誕生である。