1年位前に図書館に予約していた本がやっと来たので、すぐに読んだ話
市立図書館の予約システムを利用しています。
WEB上で予約しておくと、希望する図書館に届けておいてくれる、便利なサービスです。
この本を予約したのは1年以上前、どうしてこの本を予約したのかさえ忘れています。
本を手にして思ったのは、「センスのない題名と工夫のない装丁だな」と思いました。
しかし、1年以上待たせる人気の本です。
読み進むと、題名は、マルクスが「資本論草稿」に書いた、「人間の解剖は、猿の解剖のための一つの鍵である」からもじっていることが解りました。
本書では「人間は特別な生き物ではない」ことを前提として「特別でも何でもない人間はこれからどうする?」と問題提起するわけですが、この状況をマルクスは既に予見していたことに対して最大限の敬意を表していることが分かります。
本書は、「現在生じている人間観の変容にかんする報告書である」から始まる。
人間は3回自尊心を傷つけられていて(人間観が変容する)、
1回目は、コペルニクス「地動説」によって地球が中心でないことが分かった。
2回目は、ダーウィン「進化論」によって人間が中心でないことが分かった。
3回目は、フロイト「無意識の発見」によって意識が中心でないことが分かった。
そして今、4回目が今起ころうとしていると述べる。
それは、認知と進化にかんする科学と技術が急速な進展によって、従来の人間観に改訂が迫られている、という。
残念ながら本書では、4回目の変容の全貌(どのように人間観が変わっていくのか)を
語ってはいない。
ハラリは「ホモ・デウス」において、人間観が向かう方向を示している。
ハラリは、富める者がテクノロジーを駆使し、人間の能力(身体的、知的)を拡大することで、ホモ・デウスへと進化する、としている。
デウスはラテン語で神を意味する。すなわち、ホモ・サピエンスを超えた人間を神(デウス)と名付けているのだ。
富める者だけが進化すること(神となること)を許された世界が訪れ、進化しえない個体は淘汰されていく。
かつて、世界には王と呼ばれる、神が存在した。
王の下では、王以外の人間は人間以下であった。王は、人間以下の人間からあらゆるものを搾取することが許されていた。
現在もその構図は全く変わらず、富める者は、そうでない者から搾取(労働力)し続けている。
しかし、ホモ・デウスはホモ・サピエンスから何を搾取しようとするのか、この点は語られていない。搾取するものがないのだ。
搾取するものがない=存在意義がない、ということ。
ホモ・サピエンスは滅亡することになる。