完全失踪日記

Escape from another.

私は同和ではない。(失踪13日目)

f:id:mujiuma:20210602103605j:plain

「同和ではない」

親から何度となく言われた言葉だ。

 

昔々、祖父と祖母は駆け落ちし、とある村に居ついた。

そこが同和地区であった。

戦後、一家は同和地区から転居した。

 

「同和ではない」これは、「生まれは同和ではない」ということなのだろう。

このことについて、親と話したことはない。

 

だが、私が子供の頃、同和を差別する慣習は普通にあった。

今も残っているだろう。

気づかないだけで、差別を受けていたのかもしれない。

 

東京で働くようになって、自分の生まれに負い目を感じなくなった。

東京では、皆、他人には無関心だったからだ。

誰も自分に関心を持たない。

実に、心地よかった。

清々していた。

 

今となっては、

自分の生まれが同和かどうかなど、どうでもいい。

他者と関わらなければ、意識することもない。

 

だが、私は失踪する。

同和であることから失踪するのではない。

ただ、失踪するのだ。

これは、私が失踪する理由ではない。