失踪者、美術館へ行く。(失踪202日目)
大阪は美術館や博物館が少ない。
東京と比べると、量と質でずいぶん見劣りする。
京都、奈良、兵庫を加えた関西圏というレベルで考えると、関東圏と比較しても妥当な数なのだろうが・・・。
やっぱ、浪速は「花より団子、食い倒れ」なのだ。
大阪市立美術館「メトロポリタン美術館展」を観覧した。
ニューヨークのメトロポリタン美術館が改修中なので実現した展覧会らしい。
しかも、東京よりも先に大阪に来たのだ。
美術館へいくのは一年ぶりである。
失踪しても美に触れるてもいいだろう。
お目当ては、たくさんあるが、
やはりセザンヌは素晴らしい。西洋絵画の一つの極致だと思う。
意外だったのは、ルノアールに見惚れてしまったことだ。
そもそも、ルノアールは輪郭がボンヤリしてて全く好みじゃない。
その点でセザンヌとは真逆だ。
だが、実物を目にしてその印象は一変した。
ルノアールは、美そのものだった。
やはり好きではないが、魅入られた。
その美を畏れた私は、衝動を覚える。
この絵に近づき、両手で持ち上げ、床に叩きつけ、両足で踏みにじる。
この絵を、この美を破壊したい衝動に駆られる。
やはりこの絵が有する美は本物だ。
今の私は美の対極にある。美と共に生きるなどできはしない。
だから、美をなきものにしたいのだ。
私は、美に恐怖しながら生きる。