窓から地獄が見える。(失踪151日目)
窓から小学校の運動場が見える。
この窓は、世捨て人の私と世俗との接点である。
透明なガラス一枚だけの隔たりだが、今となっては窓の向こうへ行くことは困難だ。
運動場では、毎日毎日運動会の練習をしている。
秋なんだな。
東京では春に運動会をやるところも多くて違和感を感じていたが、ここは関西。
やっぱり運動家は秋やね。
体操、行進、踊りの練習、何度も何度も。うんざりする。
児童も先生も、やりたいと望んでやっている人は、誰一人いない。
これは、ちょっとした地獄だ。
だが、この地獄は始まったばかりだ。
この先には、うんざりすることばかりが待っている。
私には運動会の練習がが地獄に見える。
私の窓のから地獄が見える。
私は見ているだけ。
私はもう地獄には戻らない。
黙って地獄を見ているだけ。
人であったことを思い出す。