完全失踪日記

Escape from another.

あえて事故物件に住んでいる話(その5)

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おじが亡くなった知らせを聞いたのは職場でした。

午前中だったので、会社を早退し、一旦家に帰ることにしました。

帰りの電車の中で、飛行機の予約をしました。

 

飛行機の出発時間から逆算すると、2時間ほど余裕があります。この2時間を有効に使って不動産屋に行こう、という無謀な考えが浮かびました。

ちょうど目的の不動産屋は、最寄り駅と家の中間にあります。ついに家に帰る途中で、不動産屋に立ち寄ることにしました。

不動産屋で目的の物件の話をすると、すぐに物件を見に行くことになりました。予め見に行っているので場所は判りますが、知らない風を装い、担当者についていきます。不動産屋からは歩いて10分程度です。

担当者は、20代後半の男性でした。歩きながらですが、彼は塾の講師を辞めて不動産屋に勤め始めたそうです。勤め始めて3か月で、慣れていないのは明らかでした。

物件に到着し、内覧しました。3階は二つ部屋が空いていて、家賃は同じです。そのうち一つを内覧しました(内覧した方が事故物件で、この部屋を借りることになる)。

(事故物件と表現していますが、私の前に住んでいた人が亡くなったのではありません。前の前の人が亡くなっている物件です。なので、事故物件であることを告知する必要はありません。)

 

部屋は、予想よりも良く見えました。

北向きの窓しかなく、日当たりは悪いようでしたが、逆に朝日も夕日もあたらない所が気に入りました。

 

不動産屋への帰り道、担当者が何の拍子にか高校の話をし、その高校が私の郷里にある大変有名な進学校であることが分かりました。

私は彼に、その高校を知っていることと、郷里の話をすると、大変驚き、喜びました。

私は、奇妙な縁を感じ「ここで決まりだな」と確信しました。

 

(その6)に続く