私のオートバイ、私の無我。(失踪176日目)
バイクを買って2か月、500キロ弱乗った。
季節も良かったし、想定よりもよく走ったと思う。
しばらくは、交通ルールや交通の流れに戸惑ってしまった。時速30㌔でさえ恐怖を感じた。スクーターなのでクラッチ操作がないのは大助かりだったが、ブレーキとアクセル操作に慣れるまでに時間が必要だった。
それにしても、大阪の道は複雑だ。この2か月はひたすら道を憶えるのに費やしたが、GPSが手放せない。
バイクに乗るようになって変化したこと。
日々、命の危険を感じることである。
バイクは、車とちがい体を保護するものがない。事故=死、である。
バイクに乗る前、「今日は無事に帰ってこれるのか」と思う。
あっさり死ぬのはいいが、半身不随とか最悪だ。
それでもまたバイクに乗ってしまう。
なぜなら、危険を感じるからだ。リスクを背負って遊ぶ。
ああ、ここで転んだら、ここでトラックが突っ込んできたら、死ぬな、と感じながらアクセルを回すと、脳がこの上なく活性化する。
これは、ほぼドラッグだ。
運転していると無心になる瞬間がやってくる。
何も聞こえてない、何も考えてない。
無意識に自我を支配される。
死の恐怖に支配される。
これは一つの無我である。
無我はこの上なく心地いい。
私は、無我という快楽を求めて再びオートバイに乗る。