年金財政検証が語る日本社会の格差についての話
27日、年金財政検証が公表された。
政府が年金財政検証で語った内容は2つ。
①現制度の維持
②年金額の減少
「年金は30年間で20 %減る。だから、覚悟してね。」ということ。
しかし、これは5年前の財政検証でも宣言していたことなので、驚く内容ではない。
国民年金部分は、最良のケースⅠでさえ、マクロスライド発動が28年必要である。最悪のケースⅥでは、32年後に賦課方式が破綻することを堂々と宣言している。
一方、この5年間は景気が想定外に良く、厚生年金収支は良化した。
最悪シナリオ(ケースⅥ)でさえ、厚生年金のマクロスライド発動は不必要に見える。
しかし、政府はその点を明確に示すことなく、厚生年金部分もマクロスライドの発動を明記している(ケースⅠを除く)。
これは、厚生年金と国民年金とが明確に分離されていない制度上の問題点を明らかにしたくないから、である。
本来、国民年金だけマクロスライドを発動させるべきであるが、できないのだ。
官僚は、制度の綻びを認めない。
認めないまま、進んでいく。
そして、厚生年金と国民年金の格差は、日本の格差社会を象徴する。