完全失踪日記

Escape from another.

曼荼羅を三次元化した空海の慧眼に驚いた話

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東京国立博物館で「国宝東寺ー空海と仏像曼荼羅」を観てきた。

見どころは、空海が作った立体曼荼羅だ。

京都の東寺にあるものを移設し、展示している。

(東寺とは配置が違うけれど、そこは大した問題でない。)

 

曼荼羅は、仏教思想を図示化したもの。

仏教をよく知らない人にも見てわかるように、紙に書いている(二次元化している)。

多くの仏様が描写されていて、複雑な世界観が見て取れるが、見ただけでは何だかわからない。多分、奈良・平安時代の人たちもそうだったと思う。

 

空海は、曼荼羅(仏教)を一般の人にも分かりやすくするため、三次元化した。

設計図でなく立体模型をつくったわけだ。

当時は、物凄く批判されたと思う。

本家のチベットや中国にもそんなものはなかった。そんな発想がなかった。

仏に祈るだけでは民衆が幸福になれないことを空海は知っていた。

だが、幸せになるためには信じる対象が必要なことを空海は知っていた。

 

明確な目的に基づく自由な発想と実行が、空海の凄さの本質だろう。