秋は、夕暮れの憂鬱。仕事を辞めて季節の好みが変わった話
好きな季節は、秋。
生き物が、ゆっくりと死を準備する季節。
その、なだらかな坂道を下るような速度が、合っていた。
嫌いな季節は、春。
世界が新生し、生命が満ちてくる季節。
他者は再生するが、私は再生することはない。
この決定的な相違に抗う術はない。
だが、隠居生活の今、
秋は辛い。
何かが終わる気配が、耐えがたく心地悪い。
死へ向かって加速していくようだ。
春が待たれる。
そして、待ってられなくなったら常夏の国へ行こう。