オヤジたちは咳払いで会話する。秋の図書館での話
夏休みが終わり、市民図書館が静かになった。
子供たちがいない。
子供たちは、いるべき場所へ帰った。
そして、居場所のないオヤジたちが残る。
オヤジは咳払いが多い。
誰かが咳払いをすると、別のオヤジが咳払う。
これは、新たなコミュニケーション手段かもしれない。
それにしても、静かにできないのか、と思ってしまう。
図書館は、社会に蓄積された富の上澄みによって運営されている。
この社会の誰もが、溢れた上澄みを受取ることができる。
これは、権利ではない。
許されているだけだ。
居場所も金も仕事も目標も情熱もないオヤジにも許されている。
やはり、耳栓を持参することにしよう。